2008年2月23日土曜日

2月23日(土)自動車通勤

自動車通勤
  ガソリン価格がこうも上がると「自動車通勤の人たち」のことを考えてしまう。
・ 丁度1年前の今頃、「自動車通勤に関わる新制度の導入」を提案した。元来自動車通勤は通勤途上における教職員の安全を確保する観点から原則は認めがたい。「大阪府も教職員の自動車通勤は原則禁止」である。幾ら「貰い事故」といえども交通事故を起こした先生が生徒に交通事故は気を付けよう」といっても締まらない話だから。
・ それに自動車通勤は公立でも私立でも「駐車場の確保に大きな問題が過去発生」していた。手っ取り早く言えば公立の場合、「公共の学校の敷地内に個人が勝手に駐車することは、特定の教員のみ府の敷地を無料で使う」ことになり、それは許されるのか、また校内で生徒と接触事故を起こしたりしたことが現実に大きな問題となったりした経緯がある。
・ 本校では私の着任する前、現在の中庭に教職員が堂々と駐車しており、さすがにこれはまずいと考え、前管理職が是正措置をとったという。しかし校内には駐車はしていないが自動車通勤をしている先生は結構いたのである。
・ まず「通勤費」はどうなっているのか調査したら、案の定、「電車、バス等の公共の乗り物を使うとして通勤定期券の請求をして受給しているが実際は自分の裁量で自動車を使い個人で近隣の駐車場を借りていることが判明した。」
・ これは明らかに「通勤費の不正受給」である。大阪府はこれで「大量の処分者」を出した。一時期大騒ぎになった経緯がある。まさしく疑いも無き違反行為である。公共交通機関を使うと申請し、受給された公金を異なる目的に使用しているのであり、「是正措置」を急ぐ必要があった。
・ 勿論当時は自動車通勤だけに焦点を当てていたのではなく、話は「諸手当類の総合的見直し改革」の過程でこの話が出てきたものだが、教職員からは「今の自動車通勤はどうなるのだろう。禁止になるのかな。今住んでいるところは不便で出来れば車を使いたいな」といった声が私の耳にも入ってきた。
・ 思い悩んだが「一定の条件下で自動車通勤も認めるほうがトータルとして学校改革に寄与する」と考え平成19年4月1日から「自動車通勤に関する規定」を設け実施に移した。
・ この規定は通勤手当の非課税限度額を基準とした金額であり、「国ならびに地方公務員の自動車等を利用した場合の手当ての額に準拠」した。ミニマムは2キロ以上3キロ未満とし最大60キロまで保障した。きめ細かく規定した。
・ 勿論留意事項を付言している。例えば自動車通勤途上の交通事故は原則として「公務災害とは認めない」。ただし労働災害保険は適用される場合があるとか、当然「飲酒運転」に対する厳しい罰則とか。「申請書、誓約書、通勤経路届けの三点セット」で本人を守る手筈も付け、晴れて自動車通勤を認めたのである。
・ 現在自動車通勤の教職員は14名、バイク通勤は8名いる。今日まで大きな事故に遭遇したとは聞かない。安全運転で往復してくれているのだろうと安心している。気をつけなければならないのは土曜日など、直接家に帰らず、天王寺やナンバに寄って、そこで交通事故を起こした時だ。これは問題となる。
・ 自動車通勤は確かに快適かも知れない。行き帰り、個室で好きなようにタバコが吸えて、音楽を楽しみながら帰ることが出来るリラックスさは分からないでもないが、重要なポイントは次の点だ。
・ 即ち、圧倒的に多い教職員は家のドアを1歩出た瞬間から、そこは「外部の世界」で、そこを境に内と外を峻別している。着る服装も靴も言葉使いも全てそうだ。昔の武士は「1歩外に出れば7人の敵あり」と言って緊張感を持って身を処していた。
・ ところが自動車通勤は家から学校に着くまで車の中を含めてずーっと自分の個人空間、言ってみれば自宅の居間の延長で、それが学校近くの駐車場まで続く。「従って何か風呂上りみたいな服装で学校に通勤する教員がいるとすればそれは好ましいことではない。」
・ 社会人はちゃんとネクタイをして靴を履き、かばんを持って仕事に出かけるというのが明治以来の日本の勤労者の姿だ。自動車通勤はこれとは異質のスタイルになる可能性が高い。「だらしなくなることを私は恐れる」。
・ 最近の「ガソリン高騰」で自動車通勤は少ししんどくなってきているのではないかと思うのだが、まだ誰からも悲鳴を聞いていない。自動車通勤を認めた以上、これ以上ガソリン代が上がればなんとかしてやらねばならないだろう。大阪府の動きを見ながら「是正すべき時には是正」しなければならないが、そうした場合、我慢して公共の乗り物で通勤してくれている先生方への配慮も必要だ。
2.出張時の自己の自動車の利用
・通勤に認めれば当然、「出張時にも自分の車でという話」は出てくる。特に要望が多いのは「部活動」に関してである。休みの日、自宅から会場まで自分の車で行きたい、用具を載せなければならないとか言って、これまた要望が強かった。
・ 特に「生徒を乗せて長距離に出かける場合」は余程慎重にしなければならない。「原則は禁止」である。それでもある先生は合宿先で「救急車がいない場合にどうする」とか言ってきたが、今日、日本全国タクシーがない町はあるまい。タクシーを使え、大体知らない町でどこに救急病院があるのか分からないだろうなどと、論破しながら理解を求めていった。
・ また学校車を使って出張しているにも関わらず、精算は公共の乗りものの費用を弁償するとか、言ってみれば「でたらめ」がまかり通っていたこともあったが、一つ一つ解決していった。
  当時の資料を開いて見ると平成19年2月19日から25日頃は事務長と二人で通勤費の件で打ち合わせをしている。あの頃が懐かしい。