1.戻り
・ 大体高校の志願者数が固まってきた。あと少しの増減はあろうが、とにかく久しぶりの大人数だ。しかしこれで万々歳とはいかない。次の心配があるのである。
・ それが「戻り」といわれる概念だ。まず受験は本校の場合2月9日(土)に行われて日曜返上で採点を行い、合否通知は11日に発送される。合格通知を受け取った生徒は「万歳」であろうが、実はこれから本校も生徒も「厳しい次のステージ」が始まる。
・ 「本校専願」で合格通知を得た者は「この世の春」で入学式までゆっくりだが、併願受験者は3月の公立受験に向けて勉強一筋、そして3月末、本年で言えば「3月24日(月)公立高校の合格発表」まで「私学は何もすることがない、というか出来ない」のである。
・ 併願で公立に受かった者はまず間違いなく「公立高校に進学する」。運悪く公立を失敗した生徒は受験し、合格した私立の学校に入学手続きをする、これをスラングで「戻り」という。
・ その比率を「戻り率」という。私学関係者の心配の種はまず、「専願の数」「併願の数」そして「併願からの戻り」である。本校は昨年極めて高い戻り率であった。「果たして今年の戻りは幾らくらいか?」誰に聞いても分からないし、答えてくれない。だれも予想できないのだ。
・ いくら統計数値を駆使しても役にたたない。過去のデータを自分なりにシミュレーションしてある年の戻りを予測したが実際の数値は全く異なっている。要は様々な要素が複雑にからんで統計処理が出来ない母集団なのである。「気まぐれ数値」なのである。これを予測する数式を発見したら「すごいぞ。」大金持ち間違いない。全国の私学に売れる。
・ まず公立の学区再編の影響があるし、私学は全府1学区、それに近隣の府県がある。和歌山、奈良、兵庫、京都などへダブルで併願しているケースもあったりでとにかく「戻りは浮き草みたいなもの」だ。従って「専願で満杯」にするのが私学関係者の願いなのである。
・ 本校の戻り率は平成15年がそこで一ケタ台、そこから共学にして、徐々に徐々に上がり始めたがそれでも低い数値が昨年跳ね上がった。昨年の数値は異常だという人もいたりして、まったく今年は読めない。
・ 「従ってクラス数がまだ決められない。」従って常勤講師や非常勤講師の手配も正確には決められない。それは時間数が決められないからだ。「3月24日の夕方までに併願者が入学手続きに来て初めて生徒数が分かる」のだ。その後入学式までの2週間で学校はすべての準備をしなければならない。「切ないくらい私学は大変なのである。」
2.テレビ取材
・今日から二日間、フジテレビの「めざましテレビ」の企画で「ガクナビコーナー」に本校が取り上げられることになり、今日から東京のディレクターとカメラ2台が校内に入った。今日は2月1日で「一斉参拝」の日であり、3年生はいないが1,2年生で全員学院神社のまえで総ぞろいしたところから撮影が始まった。
・部活動や授業など様々な場面が撮影される。どのような編集になるのかさっぱり分からないがまあPRになるのであれば仕方ないか。事務長に「豪華な昼食をご用意するようお願いした。」
3.教育再生会議最終報告
・前安部内閣の目玉であった「教育再生会議」の最終報告会が昨日行われ、今朝の各紙が報道している。扱いは極めて小さい。安部内閣が倒れた後、何処かに熱意が吹っ飛んでいった感じであるが、私は「安部内閣はこと、教育に関しては良い仕事」をしたと思って評価している。
・ 何と言っても「教育基本法を改正し、教育3法の変えた。教員免許更新制度など画期的な施策だし、副校長や主幹などの中間管理職の職位も可能としたり、大学の9月入学の促進整備なども具体化された。」
・ ただ「徳育の教科化」は評価に馴染まないといって公明党などが大反対したり、生徒数に応じて予算配分が定まる「教育バウチャー制度」などは先送りというか「お倉行き」となったが、概して今までの答申に比べて「目立った成果」はある。
・ 福田政権発足後はあまり熱意も感じられなかったが今朝の新聞では月内にも「教育再生を継続する新組織を作る」という。気持ちは分からないでもない。前内閣の置き土産では自分の成果にもなるまい。「新しい酒は新しい皮袋に」ではあるまいが、早く国家としての教育戦略を纏め上げて欲しい。
・ 大阪府では橋下新知事が早速「学区制撤廃」と叫んでいる。時の為政者は必ず「教育改革を口にする」ものであるが、こと実現性については今回の教育再生会議のプロセスを見ていても難しいことがよく分かる。
4.卒業式式次第他の確認
・総務主任、3学年主任、他と「卒業式」の進め方等打ち合わせ。共学最初の卒業生で私にとっても最初の卒業生となる。「立派な卒業式」としてやりたい。形もそうだが「心のこもったもの」にしてあげたい。
・今年から証書を入れるものは黒色の筒から見開きのノート型にした。スマートになる。同窓会のご寄付による。「有難うございました。」
5.来年度の入試に関して
・今年の試験もまだ終わっていないが、来年度の入試に関して、副校長、教頭、教務、生指の部長が入る。要は来年度入試から「面接」を取り入れたいというものだ。元々行事検討チームが提案していたもので、青山研修所以来、継続議論になっていたが、「やはり、やるべし」で担当部長クラスと入試広報の意見が合致したらしい。
・生指部長は近隣の高等学校を良く調べており、殆どの学校が実施していること、又本校も10数年前には実施していたこと、目的はどちらかというと今日的生徒の生活指導面の本校の方針などを説明して理解していただく狙いもあるようだ。
・グループ面接で数組に分かれればそれほど時間的にも教員の負担にもならないと言う。校務運営委員会で議論することを了解した。面白いテーマであり、こういう「前向きな提案」が教員サイドから出るようになってきた。「嬉しい限りだ。」
・私の懸念は逆に面接官や面接のやり方で本校が厭になるなどの逆効果になったら困るわけで、それに対しては「面接官のマニュアルなど整備します。」と教務主任が言ってくれた。正式に決まれば「学校案内に“面接あり”」と記載される。
・「学校は教務と生指が車の両輪」みたいなところがあり、言ってみれば総務省と法務省だ。勿論エンジンは校長だ。こうして二人の部長の呼吸が合い、前向きな提案が出てくると「この学校は大丈夫」と確信する。二人ともかなりかなりレベルの高い、優秀な教員だ。どうして今までこのように力を発揮しなかったのだろう。この1年、二人ともよくやってくれただけにそのように思う。結局エンジンによって両輪は回る。エンジンが悪く故障ばかりしていたりすれば車は走らない。しかしエンジンをいくらふかしても車輪がなければ車は走れない。パンクして走らない両輪も困る。この二人はパンクしていなかった。それをこの1年で確認出来たのが嬉しい。