1.橋下知事と平松市長
・「順調な知事、苦戦の市長」と新聞記事にある。どうも橋下知事、順調な滑り出しに見える。新聞の論調もまだ「批判は抑えている感じ」だ。今知事批判の論調に切り替えれば「府民の反発」を恐れているのかもしれない。それに比べ大阪市長は冴えない。彼からメッセージが伝わってこないからだ。
・橋下知事は小泉元首相に似ている。小泉さんに失礼だが分かり易いのだ。「大阪維新」「府の職員は破産会社の社員」などとワンフレーズで言い切るところがよく似ている。深い論理的説明は無しに「思いを前面にぶつけるやり方」、駄目だと思えば「机上の空論でしたと素直に引く」ところは小泉さんと異なる。小泉さんは一歩も引かなかった。
・今のところ「やる気が満ち溢れ」、府民からは好意的に期待感で見られている。所信表明演説も分かり易かったし、「変えたいという気迫」は伝わってきた。「期待」しよう。最も与党の自民・公明がバックにいるから波乱はないのだが、族や府民の民意として与党府議会議員と確執が出てきたときに「踏ん張れるかどうか」が正念場だ。本格予算を自分の希望通りに組めるか否か、7月まで新聞から目が離せない。
・それにくらべて平松市長、ご性格なのか、何をしたいのか、言いたいのか全く伝わってこない。スマートで良い仕立てのスーツを着て何か「むにゃむにゃ」言っているだけで、市民の期待に応えているとは見えない。「ちょっとええかっこしい」だな彼は。「勉強もしていない」。
・早速野党の自民・公明の反発を受けている。民主与党で元々少数、組合や諸団体の後援を受けた平松さん、本当に「平松市長の思想信条」はどこにあるのか、さっぱり分からない。今までの大阪市政の澱を引きずりながらだから難しい面もあるのだが、それだけに「思いを発信しなければ、平松市政は何も出来ないのではないか。」
・我々は面白いことに気付かねばならない。橋下知事は義務教育も含めて教育問題を発信し続けているのだが、「平松さんからはとんと教育問題の話が出てこない」。これは一体どうしたことか。ここに大阪府の抱える教育問題の本質があるのだ。
・「府教委と市教委の仲の悪さは有名」である。もっとも教育委員会だけではないが、すべての行政機関で仲が悪いと聞く。大体小学校中学校の教員は府費負担職員で首根っこを府教委に抑えられている府内各市の市教委は面白くは無いだろうし、評価システムなどもすべて府教委主導だ。
・橋下知事と平松市長、「府市連携」を早速うたったが、それは太田知事と関市長時代も、又その前の横山ノック知事時代もあった話だ。最初は何時も高らかに宣言するが喉元すぎれば何とかで、何も変わらないのが戦後ずーっと続いてきた。それほど難しい。簡単な話ではない。それは府議会議員と市議会議員を見ていればすぐ分かる話だ。
・ 私は「どちらかが倒れるまで続く」と見ている。府も市も財政はパンク状態、もう後が無いはずなのに、未だに本当の意味で「緊張感」が感じられない。確かに府民や市民は毎日生きているから「一挙に放り出すわけにはいかない」という論拠だが、本当にそうだろうか。
2. 私学助成
・ 相変わらず橋下知事は「私学助成も削減検討」と広言している。昨日3月1日の毎日は5段記事で報道し、「削るかどうかは最終判断だが検討の中には当然入っている」と述べたとある。
・ 「太田知事も2004年行財政計画で見直しの対象」であったが80年代後半に生徒急増期、私立高校が受け皿となって施設の拡充や教員増に対応した経緯から「恩義」を感じ、見送られたものである。
・ 「私学助成議員連盟は有力な府議会議員が多数参加」しており、選挙を考えれば「無体」なことは出来ない筈だが、この人の考えは単純で「私立に公立が負けているのは許せない、残念だ。」くらいの発想しかないみたいだ。
・ 大体「大阪府の私学補助金が都道府県レベルでどの位置にあるのか知っているのか」。平成18年度当初予算レベルで見れば、先般の小学校中学校学力調査の順位とまったく同じで「堂々の全国45位」だ。「最低」に近い。私立高校経常費補助金でトップは鳥取県482000円、2位が新潟365000円、3位が福井で344000円と続き、「大阪は291900円しかない」。
・ ところがだ。「この291900円にはマジックがあって内291460円は国の財源措置で担保」されているのだ。内訳は国庫補助が51360円、地方交付税が240100円であり、この地方交付税は一般財源であり、使途を変更できるのか大きな疑問だ。教育に使うといって交付された交付税を他に流用するとしたら文科省からカットされるだけの話ではないのか。
・ 言ってみれば経常補助金で言えば「大阪府はわずか440円しか上乗せしていない」のだ。「私立学校の生徒一人当たり年間440円」だ。昔は、大阪府が元気な時代、例えば平成元年には、この440円が55400円の時代もあったのだ。これを更に減らそうというのか。
・ 大阪府の私学助成の構成は「私学教育振興全体で18年度で言えば596億円、内400億円が私立の高中小経常経費」、専修学校各種学校関係に177億円、私立幼稚園に180億円である。私立高中小のうち「高等学校に244億円」だが前述したようにこれは国の補助金ぎりぎりの数値である。
・ その他私立高校生徒への「授業料軽減予算に65億円」、私立高校への特色教育、施設整備費に5億円が計上されている。この65億円という授業料軽減措置用の数値は結構大阪府頑張っている数値でこれを対象に削減するというのは有り得るかも知れないが、その場合、そうでなくとも「開きの大きい公立と私立の授業料格差を拡大する」ことになり、それで理屈が通るのか。
・ どうも橋下さん、頭にはとにかく公立、それも発想の原点が「北野」でそれでは余りにも考えが浅いし狭い。さて今後どう出てくるか楽しみである。「公立の授業料は上げて私学は下げて財源確保する」というなら格差は小さくなる。個人的にはそうなら受け入れることを検討せざるを得ないが「全国一高い公立高校の授業料を上げられるのか?」