2008年3月10日月曜日

3月10日(月)英検かTOEICか

1.英語力
・ 今から25年前、「ニューヨーク事務所勤務」を命じられた。まだ30歳代の若かった頃だ。英作文は好きというか得意というか、少しくらいは出来たけど、喋る方はかっらきし駄目で、全く「聞き取れなかった」。
・ NYの中心地のグランドセントラル駅に隣接した事務所に赴任するまで、日本で3ヶ月、「ベルリッツ」というところで会社は訓練期間を呉れ、「にわか英会話勉強」をしたが、まったく「現地会話には役には立たなかった」。
・ 「仕事になるのかな」「英語、どうしよう」と不安で仕方がなかったが、最後は「当たって砕けろ」でケネディ空港に着いたのを覚えている。事務所には現地スタッフがいるのだが、日本人スタッフが彼らとミーティングや飯時などに会話して「笑って」いるのを見たりしたら、「何で笑っているのか、分からないくせに、自分もニヤニヤしていたのを今でも屈辱的に思い出す」。 会話は満足に出来ないし、裕ちゃんは倒れて慶応病院に入院するわで、切なかったのを覚えている。
・ しかし3ヶ月だ。3ヶ月頃から不思議と分かるようになってくる。英語ばかりのところに住んだら誰でもそのうち英語はしゃべれるようになる。生きていけなくなるからだ。買い物もスーパーも医者も皆、英語だから、英語から逃れられない。
・ 6ヶ月間くらい経つて、明確に何を言っているのか分かるようになると、今度は「たどたどしくとも喋れる」ようになる。相手の単語を使えば良いのだ。言いたいことは「必要に迫られれば、ものになってくる」ということだ。心配する必要はない。
・ ある時、クリーブランドの鉄鋼メーカーの幹部との夕食時に「Tomo(私のニックネーム)は何処で英語を習ったのか」と聞かれたことがある。「高校時代に勉強した。」と答えたら「君の英語は流暢ではないが、正しく喋っている、喋ろうとしている。そこが大変良い。」と褒められたことがある。
・ その後も結構こういう場面は多かった。移民の国で、中には不法入国をしたり、どちらかといえば英語も「喋れず、書けず」といった人たちの「耳からだけの英語」はひどいものだということを言いたかったらしい。「はー、英語はこの国の国語なんだ。」と思った。
・ このときに初めて「高校時代の英語の先生のありがたさを痛感」した。文法、言い回し、構文、等々「日本英語の実直さ」に感謝したのだ。上手く喋る必要はない。「正しく、ゆっくり、品良く、喋る、このことが重要」だと思っている。外国語だから尚更だ。「言葉は人間そのもの」だ。知性、教養ある人間は喋る言葉ですぐ判別できるという書物もある。学歴で言葉が変わるという本もある。
・ 高校英語は別に「駅前のNOVA」でなくても良い。NOVAはなくなったが「英語の基礎基本は高校時代に身につける」、これが「学校英語」だと私は思う。小学生に英語を教えるのは「英語に親しむ目的」であれば良いが、あんなもので喋れるものではない。それよりも「国語の方が余程重要だ。」大体国語が弱い人間に英語が出来るとは思えない。
・ 「英語の重要性はますます大きく」なってくる。国際語であり決済語だ。「大学受験でも英語の重要性」はますます大きくなってきているし、「企業への入社もTOEICのスコア」などは極めて有力なアドバンテージとなる。「本校では英語を強化しなければならない」。
2.英検かTOEICか
・ 「英検」は「実用英語技能検定」といい1963年に創設されたもので延べ7400万人が受験し、現在でも年間250万人が受験している国内最大規模の、今や「権威さえ感じられる検定試験」だ。実は私も高校生の時に受験し2級を得ている。2級は高校卒業程度の力だ。
・ 本校でも英検は指導の一つとして奨励し、「理数科」を主体に多くの生徒が一つの目標としている。「大変良いことだ。」しかしここに来て英検に代わる「TOEIC」という目標というか評価システムが伸びてきている。
・ 英検が「合格・不合格」と結果を直截的に示すのに対して、TOEICは合否ではなくて「10点から990点までのスコア」で表わされる評価システムである。これはもはや「グローバルスタンダード」で世界60カ国で利用されており、日本でもここ最近伸びており、世界で450万人、日本で160万人くらいか。
・ 外国に行ったりすると「TOEICは何点ですか?」と聞かれたりするのは今や普通になって来ているが「英検は何級ですか?」とは聞かれない。徐々にTOEICが伸してきている証拠に今年の「センター試験ではTOEICと同形式の問題が出た」。このことに英語の高校教師は驚いている。
・ どちらが浪速高校にとって良いかという議論は難しい。それぞれ特徴があるからだ。本校も「英検派とTOEIC派」と分かれているが、そんなに厳しいものではない。ベネッセの開発した「GTEC」というのもあるが、今のところまだ少数派だ。本校ではI先生などがこの方式を主張する急先鋒だが、他の教師の賛同を多く得るところまでは言っていない。どうも「英検派」が未だ多数を占めている様子だ。
・ 私の感想で言えば「生徒には英検2級を目標に」、先生には「TOEIC830点以上を目標」にして欲しいと思っている。高校の英語の先生だからこれ位はあたり前だ。英検で言えば「準1級以上」が望まれる。今年1月と4月に専任教諭に採用の男女二人の先生には今年中の「800点」を義務つけている。
・ 「20年度入学の1年生のSSクラスとⅠ類は全員に、まず「英検準2級を目標」にさせることを考えている。英検はやはりTOEICに比べて「受験英語」に近い。前述したようにTOEICもセンター問題と似たようなものが出たが、まだまだ希少だ。
・ 元々TOEICは「国際コミュニケーション能力を総合的に高める」ためのもので、どちらかといえば「ビジネス界にとって有効」なものとして開発された。勿論昨今は学校でも活用されてきているが「英語総合力の授業効果測定」などには最適であるが受験となると「汎用性」は英検に一歩譲るのではないか。
・ 本校の「K教諭はTOEIC900点保持者」であるが、この900点というのはすごい数値であるのだが、この先生が「英検の方が良いのでは」というのだから、強い味方を英検は持っていることになる。
・ 私は余りよく分かっていないのだが「新しもの好き」で「どちらかというとTOEICに興味」がある。そこで前述の二人の英語専任教諭を「TOEICテストスコアアップ英語指導者セミナー」に参加させてみた。この二人のレポートを読むと大変面白い。狙い、教え方等TOEICは「革新的なところが良い」。
・ 社会に出て最も役に立つのはTOEICだろうが、社会に出る前に「大学に入って貰わないと困る」わけで、当面の「浪速英語は受験英語」に特化してやっていきたい。基礎基本をしっかりと教え、「英語を好きになって貰わねばならない」。英語は特別科目だ。「受験にとっても最重要な科目」「就職するにも最重要な科目」であることは間違いない。