2008年5月16日金曜日

5月16日(金)教育費

教育費
・ 一体我国は国として幾らくらいの「教育費」を投入しているのであろうか。この答えは簡単で「あまり投入していない」ということになる。国家としての財政支出で見ると最も分かり易い。
・ 教育関連予算が国内総生産(GDP)に対して『何%か』が一つの目安になる。現在「3.5%」である。これが「アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなど有力な国は揃ったように5%超え」だから少ないと言えば少ない。
・ 文部科学省や自民党の文教族は「OECD諸国平均の5%へ引き上げるべきだ」とぶち上げているが、財務省は「ふざけるな」という姿勢だ。財務省の言い分としては「一人当たりでみれば、先進国の中でアメリカについで2番目の公的教育支出国だ」と主張する。
・ 元々財務省は「どのような子どもを育てようとしているのか、学力や規範意識に数値目標を設けるべきだ」と教育効果について厳しい味方をする部門だから、一筋縄ではいかない。少子化が進む中で「財政支出の増額など全く考えられない」と言う。
・ 橋下知事が「大阪府の教育費増強」と東京に陳情に出かけてもこの前のように「玄関払い」が落ちである。仮に3.5%を5.0%に増額したら必要財源は7兆4000億円になり、後期高齢者医療とか道路とか橋とか吹っ飛んでしまうような額になる。
・ 一方親からみる「教育費」も安閑とはしておられない。家計収入が伸び悩み、「年収水準が下がる時代」になってきた。例えば大阪から東京の私大に進学すると新大学1年生が実家から毎月受け取る「仕送り」は19年度平均で95900円という調査結果がある。対前年度少し減少している。1986年以降調査を始めて以来最低の額という。
・ 受験費用(受験料と旅費)、最初の家賃、敷金礼金、生活用品代、大学への納付金、生活費として4月から12月までで、総計すると「302万円」という数値が出てくるらしい。東京の大学に進学すると1年目には最低でも302万円かかり、世帯収入の31.4%という。しかしこの世帯収入は結構大きい数値だ。おそらく夫婦共働きであろうか。
・ テレビによく出てくるコメンテーターで経済評論家の森永某という人の書物「年収300万円で暮す方法」では収入のすべてが教育費になる。しかしこんな本、無茶苦茶だ。自分は何千万円も稼いでおいて「よく言うよ」と言いたい。
・ 仕送りから家賃を差し引いた生活費も月度36700円だから、首都圏で学ぶ大学生はアルバイトでもしない限り「一日1200円で生活する計算」となる。朝昼晩「牛どんの吉野家」にも行けない厳しい数値だ。奨学金の受給を希望する学生のうち実際に申請したのは61%で始めて六割を超えた。自宅外通学で約7割、自宅通学で5割という。
・ 本当に厳しい世の中になってきた。「親の経済力が教育の機会格差」となって現れ、ますますその傾向は助長されてくると思われる。本当に「教育を立国の柱」と政治家、中央省庁の役人が考えるなら「公的助成を増やせ」と言いたい。
・ 大体政治家は直ぐ「教育を口にする」が結局は何もしない。まず最初に槍玉に上げるのが教育費だ。橋下さんも小学校の35人学級を見直すと言い、私学助成を削減するという。言っていることとやっていることがまさに逆だ。しかしこれが社会というものの実態だろう。「食べることがまず先に来る」。昔はその次に教育が来たのだと思うが現代は「個人の嗜好品」が次だ。教育費は後に追いやられる宿命である。
・ 今ブログを書きながら横のNHKテレビはブラジル移民がまず子どもの教育費だけは優先し、大学に行かせて、それが3世代になってブラジルをリードする人材に育ったと放映している。昔の日本人はそうだったのだ。
・ 本校でもそうだが「生徒は関東に出たがらない」、「大阪の大学で十分」というのは、秀吉と家康以来の因縁と上方、江戸の文化の違いも背景もあるかも知れないが、私はこのような「家庭の経済的背景」が色濃く影響しているのかもしれない。無理して東京に下宿までして行かなくとも、親の側で自宅から大学に通いたいのではないか。
・ 首都圏や地方には立派な大学は山ほどあるのだが「関関同立」を始めとして関西の大学にこだわる。しかし考えてみると生徒は立派なことをしているのかも知れない。企業は本社をどんどん東京に移し、吉本の芸人さんも「東京のキー局でテレビ」にでると「ビッグ」になる。皆東京に行くのだが生徒だけは大阪だ。一つには前述したように経済力、「東京という文化に対する怖さ」もあると思うが、結果的に生徒は「大阪で頑張る」と言っているのだ。立派ではないか。
・ 「大学全入時代」「地方分権の時代」「中央よりは地方」「少子化の中で就職戦線では別に東京の大学でなくても良い」食べることにきゅうきゅうする「苦学生」よりも上方文化の溢れる住み慣れた大阪の大学で良いと考えるのは理屈が通っていると考えるようになってきた。東京に行きたいものは行けば良いし、大阪にこだわるなら「大阪の大学」で良いのではないか。
・ こう考えると親の経済力や年収水準を考えれば「学校としての指導に柔軟性」が必要である。近畿「2府4県の国公立、そしてブランド私大「関関同立」をはじめとする特徴ある大学」は極めて多い。今まで「国公立大学」「国公立」とばかり言って来たが、少し「関西の私立大学を研究」してみよう。
・ 早速今日は「某有力私立大学の理事長と面談」だ。午後から出張した。行動は素早いのが唯一の取柄か欠点だ。「電光石火」であるといいが「拙速」という言葉もある。しかし「動かなければ次が見えて来ない」のも事実だ。じっとしていると体がしんどいが、このように動くとリンリンと体が熱くなり元気になってくるから不思議だ。