2008年5月9日金曜日

5月9日(金)その1:いわゆる残業問題

時間外勤務考・・・いわゆる残業問題
・ 昨日の特別講習制度に関連して教員の時間外勤務についてさらに論考を進めてみよう。とにかく「ややこしくて悩ましい」のである。「昔の人は偉かった」とつくづく思う。“員に残業などはない。教育に携わるものが「時間外勤務とは何事か」、4%程度調整手当ての名目で支給するから、この範囲内で我慢せよ。”と単純明快に整理したのである。
・ しかし時は変わり、特に「条例適用を受けない私立大学、私立学校」は「ぼつぼつ是正すべき」時期が来ているのかもしれない。国立大学から法人化された大阪大学は最近では残業代未払い問題で揺れ、マクドナルドの「見せ掛け管理職の残業不払い問題」等々この種の問題に対して社会の目が厳しく成って来ていると思わざるを得ないのである。
・ 従って本校も現在は改革の過渡期なので色々事情はあるが、今後教員の「時間管理をあるべき姿」に近づけなければならないと感じていることは今までのブログでも強調してきたのである。昨日の職員会議でも時間を取って説明した。
・ 例えば放課後講習でも今は勤務時間内と勤務時間外が混在しており、受益者負担の金額も「教員による講習」と「自主学習」では金額が違い、これは整理しなければならない。
・ 勤務時間内の講習は給与内に元来含めれていると考えるものであるが、それをダブルカウントにするのはまったくもっておかしいという意見もある。例えば通常日は17時10分までが勤務時間でそれからが「受益者負担」に相当する。講習だろうとも自主学習だろうとも教員が付き添っており、ここに金額の差があるのも不自然である。同じでなければならないと思うのだが。
・ 一方ここで「残業問題を持ち出すのなら、それは受益者負担で整理するのはおかしいではないか」という声が当然出てくるだろう。その疑問の答えは「学校法人会計から時間外勤務として支給する」ということになるべきであるという考えが正統派の意見であろう。
・ 元々、受益者負担で整理する限り「兼職兼業」となり勤務時間内での講習はまさしく「アルバイト」となる。本校では兼職兼業は就業規則で原則禁止だ。校長の許認可事項である。生徒を教員の自宅に呼んで教えることまでは許していないが、ただ自校の生徒を学校内で講習することは「校長の認可」事項として許可している。兼職兼業だ。
・ 放課後講習、勤務時間外講習を「時間外勤務」と位置づければ全ては解決する。しかし「問題は財源」だ。教員の給料は高いから労働基準法に規定される時間外手当は受益者負担として保護者にお願いしているどころではなく、数倍は高い。
・ 結局教員に支払う残業代と受益者負担額の総額を引いたものが余分な学校法人としての出費になるが、これをどうするかがポイントだろう。教員からすれば手取りが増えるのは嬉しい筈だが、それで経営が立ち行かなくなったら元も子もない。
・ しかし「残業として整理するとなると、話は簡単ではない。5月6日のブログ「ブルーな再始動」で論述したように京都市の判例が指し示したごとく、「残業は上司命令、指示に基づく」もので「自主的自発的にボランティア」でやっていますというようなものではない。厳しい結果を問われることになる。放課後講習は学校長命令となった正式な業務となるのである。
・ しかし、運動部の指導に当たっている教員からすれば放課後のクラブ指導はどうなるの?となるだろう。教科指導の講習は残業で放課後の部活指導は「ボランティア」というのでは「辛いですよ」となるだろう。気持ちとしては分かるが、毎日毎日の放課後のクラブの練習や朝練を早出・残業とする訳にはいかない。
・ 休日の外部での練習試合や合宿までを「休日出勤」とする訳にはいかないのは教員も分かっている。それらを勤務時間外としたらまさしくこれは労働基準法を超えた労働時間となり、休日には殆ど教員は家にいないのが実態だ。まさに自宅は「風呂、飯、寝る」だけの場所になっているのが実態だ。
・ このような献身的な運動クラブのお蔭で日本のスポーツレベルが維持向上している現実がある。文部科学省も各教育委員会も部活動は正規の教育課程ではないと言っているのだが、罪作りな話だ。日本のプロ野球もJリーグサッカーも高校総体、高野連のお蔭だろう。
・ 公式戦は生徒も「公欠扱い」にしているので公式戦の場合に限って、教員の勤務は残業、休日出勤とせざるを得ないのか。しからば何時から何時までを勤務時間として算定するかが問題となってくる。
・ 昔こういうケースがあった。陸上競技大会で短距離の試合で10秒で終わり、勤務時間は10秒かという話しがあったが、これはさすがに集合場所から現地解散までの時間をカウントすることにしたが、自分の試合はすぐ敗退して終わってから他校のゲームを見ている時間まで残業とは出来ない。
・ 昨年から、伊勢修養学舎やサマースクール勉強合宿の教員手当ては思い切って上げた。勤務日であったが「配慮」したのである。このような「私からの気遣い」は残業として整理したらあり得なくなるだろう。
・ 加えて「3.5%の調整手当ては廃止」となる。これは基準内賃金だから影響は大きい。賞与一時金や退職金まで影響してくる数値だ。果たして教職員はどのように受け止め考えてくれるだろうか。「山場に差し掛かって来た」。