2008年5月24日土曜日

5月24日(土)学校評価

学校評価の実施
・ 昨年6月、戦後60年を経て教育の憲法ともいうべき「教育基本法が改正」された。この影響は今後大きく学校現場に出てくることになる。教育再生会議の議論を経て、同年10月に「学校教育法施行則の改正」で「自己評価および学校関係者評価の規定」が設けられ、遂に本年1月31日に文部科学省より「(改訂)学校評価ガイドライン」が作成された。
・ 狙いは「保護者や地域の信頼に真に応える学校にすること」として「教育水準保障機関(仮称)を設置」し学校の外部評価監査システムを導入したいと彼らは考えて答申したのである。これは極めて重要な法律であり、大阪府も早速具体化に乗り出した。
・ 評価の内容は
「教職員による自己評価」と「結果の公表ならびに結果の公表」、「設置者への報告義務」
「学校関係者評価(努力義務)」
「第3者評価の実施(将来課題)」の「3段階」で進められる。
・ 当面大阪の私学はまず「自己評価と公表ならびに設置者への報告から」進めることになった。しかし本校では第2段階の学校関係者評価まで検討していくつもりである。関係者とは「保護者」「中学校関係者」「」「地域」などが含まれると考えられるが出来るところから始めれば良いと考えている。まだ努力目標であるから。しかし努力義務とあるからそのうちに義務になる。
・ 第3者評価は当事者や関係者でない専門家による「第3者評価」であるが教育再生会議がいうところの「教育水準保障機関のイメージ」であるが、これはそう簡単にはいかない。理論先行といった感じがする。
・ 企業でいう「品質システムのISO標準」みたいなものだろうが一挙にはいかないだろう。この機関を上手く立ち上げたら「大金持ち」になれる。全国の学校を回って「貴校は良好です。」「貴校は努力が足りません。優秀学校とは認定できません」と権威ある機関の認定するイメージだと思う。
・ 学校評価は既に35年くらい前から一部の公立学校や地域で行われており、新しい考えではない。最も本校ではまったく初めての話であろうが。平成17年には文科省は「学校評価ガイドライン」を作成し、外部評価を全国に広げようとした。今回のものはその改訂版である。
・ 教育再生会議は「学校は学校評議員、保護者、地域住民などによる外部評価を導入し、その結果を公表する。評価は閉鎖的・独善的であってはならない。学校評価に当たっては保護者や児童生徒の意見を反映させる。学校は外部評価の評価基準を明確にする。」ときっぱりと規定されているのだ。この文言を教職員は頭に叩き込まないといけない。
・ 法律の精神を受けて本校も20年度の末までに「自己評価」をまとめなければならないことになった。大阪府の私学一斉に実施することになる。6月には大阪府私学課による指導会も予定されている。5月も終盤になり、ぼつぼつ具体化しなければならない時期となってきたので、本日副校長教頭と打ち合せをした。
・ しかし本校は「心配する必要はない。すでに始めている」からだ。私は教育法律論から学校社会に入っていった。教育基本法を読み、学習指導要領にも目を通した。公立学校で様々な経験をした。いずれも制度の初めの段階から経験してきているから、ある程度の先が読めるのだ。
・ 例えば初めて「学校協議会」を組織し、委員候補を自ら探し出し、お一人お一人就任をお願いした。そして学校側の公開資料を決めて協議会の席上にて順番に各分掌の部長に説明してもらった。「生徒の授業評価」もこのときに初めて実施した。
・ 管理職からだけの説明ではないのである。それはそのような機会が教員の教育になると考えていたからである。企業においても一担当者が「役員説明」の機会を得ることは名誉であり、絶好のチャンスなのである。このような「場」が教員を教育していく。
・ 「本校の人材育成評価システムはまさしくこの自己評価そのもの」である。これをどこまで外部に公表するかは今後の課題である。勿論個人が特定されるような公表はありえないが全体として学校の標準のレベルの向上と課題は公表する考えである。最も公表先は設置者であるから「理事会」となる。
・ 中学は生徒アンケートも取り、保護者の授業参観や懇談会もすでに順調に実施中である。全国学力調査も客観的学校レベルの把握に効果がある。すでに浪速中学校は自己評価のフォームも出来ており、今後の詰めの段階まで進んでいる。いずれにしても中学校は先行している。
・ 課題は高校だ。これからだが今浪速高校も全教員頑張ってくれており、これから「形を作る」事で良い。まず自己評価との繋ぎをどのように定量的に管理職が整理するかである。次に初めて「生徒による授業評価」をしなければならない。もはややっていない学校は世間にはないのではないか。
・ 「 教科主任会議でフォームを決め生徒のアンケート内容を決めて10月頃に一斉に実施」して欲しい。まず此処からだ。生徒や保護者からの意見を聞くことが外部よりも先だろう。アンケート結果を分析し、「自分たちの授業が生徒からどのように見られているのか?」がすべての出発点である。法律もその点を指摘している。
・ 昨年の監事による内部監査は従来の「会計監査だけではなくて業務監査」も加えた。1年経って殆どの分掌部長が直接監事にご報告した。このような実践例は他校にはないのでないか。
・ 学校全体の動きは「公式サイトの校長メッセージ及び校長日記」で改革の変遷、現状の課題、解決の為に方向などを「タイムリーに、正しく、公表してきた」。「これ以上の情報公開はない」と考えている。あれは「ええかっこ」でやっているのではない。教職員、保護者、中学校、浪速に関心を持つ府民の方々に「十分なる説明責任」を果たしてきたつもりである。結構しんどいのです。
・ 「理事会は、かってないような充実した理事会となった。」と全理事から高く評価して頂いている。入試広報室は「誠実さの浪速」と言われるぐらい「誠実に、ありのままの浪速を広報」してくれている。「校長も入試広報も前線に立っている」のである。今後は「奥の院に光をさす番」である。奥の院とは教職員の自己評価である。
・ 「生徒の授業評価」、保護者との距離を縮めるための「秋の学年集会」で「その辺の情報公開が出来ればよい」かなと思っている。そして「年度末には教職員は1年間の自己評価と管理職による評価」だ。それを学校全体に広げて「学校自己評価」となる。これは管理職の仕事だ。それらを「理事会に報告し一連のサイクルは終わる」。これが私の描いた絵である。心配することはない。すでに一部は実施しているし、結果も良好だ。
・ 自己評価が目的ではなく、「良い学校つくり」が目的である。自己評価はそのための一つのツールであることを認識しなければならない。この前のブログに書いたが「監事説明」を「何でやねん、何でせなあかんの」などの寝言を言ってはいけない。
・ 法律なのだから、やるしかないのである。私学は公立と違って誰も手を差し伸べてくれない。自ら「どこをつかれても問題ないように」しておかねばならないのである。「世の中は変わって来ているのである。」「空気を読め、風を敏感に感じよ」。